下に

遺書日記その1「北へ」
 
 
北で、戦が始まるらしい。
 
その噂を聞きつけた私は、一日逡巡した結果、重い体を起こして諸国を回ってみる事にした。
どの国も、塀の向こうからは諸将の活況な声が響き、布告の文を運ぶ文官は忙しなく駆け回っていたが、
それは、あまりにも私には不釣り合いで、門を叩こうという気はどうにも起きなかった。
 
――私は、自らの力を試したいわけではない。
軍記物の英雄になりたいわけでも、ましてや、国や民の力になりたいわけでもない。
戦の日々に別れを告げる為、遺書を執筆する文机がただ欲しいだった。
 
死ぬ為の国。そのようなものが点在するわけもなく、
最北端の十和田湖まで流れた私の目には、門の前に掲げられた薄汚い板看板が映った。
 
 
「俺は特に何もしないけど責任は取るし統一を目指している。好き勝手やろうや。(君主:ハイパー地蔵チンコスMAXより)」
 
 
なるほど。ここでいいだろう。
噂によれば、隣国への布告文は「あ」の舐めた一文字で、返答もまた殺害予告じみているらしい。
私は門をくぐり、受付に名を記してハイパー地蔵国へと仕官した。
既に記されている精鋭の名は六つ。萌えおっさんの名が無い事だけは心残りだった。
 
受付の外では、歴戦の猛者であるピヨ彦3怒りのアフガンが、りさにゃんの日報を新任の門兵達にせっせと配っていた。これが彼の日課らしい。
いつか、りさにゃんも戦地に赴く日が来るのだろうか。そんな地獄絵図の日が来る前に、死にたいものだ。
 
 
 
 
 
遺書日記その2「緊急事態宣言」
 
「緊急事態宣言! 緊急事態宣言!」
 
店の外で、男が唾をまき散らしながらそこら中に号外を配っている。
それを拾いに出ずとも、店内に設置されたテレビがこの騒乱を告げており、
かじりつくように報道を見ているトウゴスは、今日も何やらコメンテーターへの不満を零していた。
まったく、騒々しくて仕方がない。
私は深く嘆息を零し、手を掲げて、この日三杯目のチェイサーを店員に注文した。
 
緊急事態と言えば、このハイパー地蔵国も例外ではない。
元々ケツを掘る予定だった大国なげねこから非戦願いが届いたものの、
それを逆手に取って、期間満了と同時の奇襲ができないか、各国へ働きかけているのだ。
 
「これもなげねこ氏への試練だお^^」
 
そう言いながら、店員兼君主のチンコスがチェイサーを差し出してくる。
これがピヨ彦行きつけのお店なら云万円をボられるところだが、
ここは安心と信頼のシナトラ自由が丘店。これから緊急事態宣言で苦しむシナトラ自由が丘店。
 
「まったくだ」
 
私は、同席している少女にいいところを見せようと、
差し出されたチェイサーを一気に飲み干し、更にもう一つチェイサーを注文した。
旧知の仲で、私の引退を聞きつけて個宛をくれたその娘は、
そんな私の男っぷりを見てニコニコしている。
通報してくれても構わない。
残念な事に、娘の股間にはチンコスがぶら下がっているのだから。
 
 
 
 
 
遺書日記その3「カレー」
 
戦況は厄介になってきた。
なげねこ国が上杉と戦う前に共同奇襲を仕掛けるつもりが、
外交の後手や戦の早期決着もあって、次は我々となげねこが刃を交える事となった。
 
無論、甘んじてそれを受け入れるチンコスではない。
ストゼロ片手に各国を駆けずり回り、今一度、開戦前の共同奇襲の手はずを整えている。
在りし日の金太を連想させる男だ。後は酔って外交誤爆すれば完璧であるが、
シナトラもある彼に全てを背負わせるわけにもいかず、
私も彼の名代として武田警察パトレイ馬ーへ向かう事になった。
 
「お侍さん、お恵みを。どうかお恵みを」
「へへ、旦那、訓練の指南書いらないかい? 特別に50000金でいいよ」
「ねえあんた、せがれを知らないかい? ブータンって言うんだけど、戦で出世すると家を出て戻ってこないんだよ」
 
旅路の途中では、みすぼらしい民達が私の身なりに惹かれて声をかけてきた。
道端ではトウゴスの妻が路上でカレーを販売し、息子は宝物であろうドングリを路上に並べて売っている。
彼女らも、この動乱ですべてを無くした被害者なのだろう。
 
「少年。そのドングリを一つ貰おう」
 
せめてもの罪滅ぼしで私がドングリを買うと、少年は目じりに涙を溜めて笑みを浮かべた。
私は、買ったばかりのそのドングリを、トウゴスの妻の目を盗んでカレー鍋に入れ、先を急いだ。
 
 
 
 
 
遺書日記その4「法律」
 
鹿角の兵舎を、人がひっきりなしに出入りしている。
チンコスが体液を流しながら駆けずり回った成果もあって、
武田、ムショ、干支の参戦及びルイーダの酒場の傭兵を取り付け、
そのうち武田は滅んだものの、実質は四か国+傭兵による共同戦線が実現したのだ。
 
私としては負けて命を散らしてもホンモウである。「ン」と「ウ」を取ったらホモである。
だが、なげねこのケツを掘る事は、更新開始前からチンコスの目標だった。
初戦終了後から工作活動に勤しんできたチンコスの執念を、できる事なら形にしてやりたい。
 
既に一度田沢湖は落としたが、南方ではムショと干支が奮起している。
それに負けじと練兵に勤しんでいると、その田沢湖を落としたパワーが意気揚々と戻ってきた。
 
 
「やあパワー。大戦果だったじゃないか」
「ガハハハ!」
「君を見習いたいものだが、どうしたものだろうか」
「手始めに消費税100%じゃ!」
 
 
この者が法に関わる文官でなくて何よりである。
話を適当に切り上げて出兵の準備を整えると、
私の横を、伊達秘鑑をぶら下げたピヨ彦の隊が駆けていった。
 
 
「町ではお前が法律かもしれないが、ここでは俺が法律だ!」
 
 
・【支配】[1624年01月]ハイパー地蔵国のピヨ彦3怒りのアフガンは角館を支配しました。(計略+1)(9日20時3分)
・【滅亡】[1624年01月]なげねこ国は滅亡しました。(9日20時3分)
 
 
戦は、無法者達の活躍で幕を閉じた。
 
 
 
 
 
遺書日記その5「怠惰」
 
なげねこ戦の勝利に浮かれる我々のもとに、飽きたもの国からの布告が届いた。
初戦は速攻で片が付き、その後三日巡回し、なげねこ戦も数時間で終えたチンコス譜代は、
ほとんどの者が、まだ十度も戦場に出ていないのだが、そこは歴戦の遺臣達が奮起してくれるだろう。
現に武田遺臣の後藤は国を鼓舞し、男の娘国遺臣の野分くんは政治家仕事で縦横無尽だ。
 
「松永久秀って爆死じゃねえんだ。つまんね、ガハハ」
 
自室で鼻毛を抜きながら麒麟がくるを見ていると、何やら外の様子が騒がしくなってきた。
時計を見れば開戦自国を過ぎている。もしかすると、もう飽きたもの国の拠点を落としたのだろうか。
ケツを掻きながら起き上がると、ちょうど兵士が部屋に駆け込んできた。
 
「急報! 拠点鹿角陥落の危機!」
「えっ」
「ですので打ち負けております!」
「えっ」
「副大将殿、指揮を!」
 
にわかには信じられない報告を再確認している間に、
面倒な仕事をチンコスに投げようと閃いたが、おそらく、この時間のチンコスはシナトラだ。
シナトラは潰れてもいいが、国が潰れると俺が楽に威張れる場所がなくなるではないか。死ぬまでは楽をしたい。
私はお決まりの守備・後方出兵指令を出し、配下の兵に後方出兵を指示して自室に戻った。
これくらいでいいのだ。肩肘を張る奴から脱落する。約14年間の己鯖人生で学んだ事だ。
 
 
「トウゴスの奴ウーバーイーツでバイトしてんのか。ガハハ」
 
自室で鼻をほじりながらツイッターを眺めていると、また外の様子が騒がしくなってきた。
そういえばそろそろシンデレラだなと窓の外を眺めれば、そこに映ったのは敵の旗が掲げられた拠点だった。
 
●シェリー・ウィンタースはマステマ?に敗北した。20の貢献を得ました。(計略+0.5 経験:武 寿命:-1.5)(10日22時54分)
●【支配】[1630年11月]飽きたもの国のちゃとらは鹿角を支配しました。(10日23時23分)
●シェリー・ウィンタースは秘密三国志に敗北した。20の貢献を得ました。(計略+0 経験:武 寿命:-1.5)(10日23時53分)
 
オンしない奴は軍事と同じ目に遭う。これもまた約14年間の己鯖人生で学んだ事だった。
 
 
 
 
 
遺書日記その6「遺書」
 
積雪が、赤く染まっている。
そこらじゅうで響く怒声と、絶え間なく流れる飛矢を遮るように、
私は部屋の襖を閉め、文机の前に座して筆を執った。
 
――思えば長い人生であった。
 
野球国での和気藹々とした日々と初統一。あの頃は牧歌的だった。
ONしているtyubouが平家物語の二刀流で敵陣に突っ込んでいく。
ジャミラ似のガチムチ親父とウルトラファイトしてきた。
五連目だぞ、政治家の潜伏も楽じゃないんだ。
良くやった。もうその名前は使うな。
息をするように軍事が滅びた。
純白&ふりふりレース!
麻雀大会か。悪くない。
私は的確だ。
大自然軍。
獣道。
東北大震災による停戦。規模も不明の震災直後、宮城在住の夜さんが、多分誰かが死んでいると告げた。
築城記を投げつけられました。
やる気! 元気! いわき!
閉鎖? そうか、終わるのか。
よくやった工員、見事な3枚抜きだ!
成る程。思っていたよりも随分お若い。
ゴ? 司馬炎君、どういう事だ?
勘弁してくれ、この三つ巴はいつ終わるんだ。
何がワロスだ、日本語もまともに使えないのか廃人が。
何者なんだ、このイオリとかいうキチガイは。
スレに延々と張り続けられる指令。
ネガキャン。
ネガキャン。
ネガキャン。
猫神様が笑った。
「ははは、雇えるのう。レッドストーンと幼女と戦列艦ヴァーサに乾杯!」
 
はっと、私は両眼を見開いた。
いつの間にか気を失っていたらしい。腹に負った矢傷は深いという事か。
私は小さく笑い、ようやく、筆を紙へと乗せた。
 
「残念だお>< おつだお(=^ω^)ノ」
 
・【支配】[1636年10月]飽きたもの国の鳳翔さんは角館を支配しました。(計略+1)(11日23時19分)
・【滅亡】[1636年10月]ハイパー地蔵国は滅亡しました。(11日23時19分)
 
遺書日記 完
 

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